パルサーの改造
このパルサーは据え置き電源のバッテリーバンクを主に考えているので、週1回程度しか運転しない車などで常時パルスかけているという使いかたは難しいです。問題はパルスで消費する電力で、充電間隔とバッテリー容量の関係です。バイク用だとバッテリーが小さいので特に困った問題です。消費電力は単位時間に何発パルスをかけるかという問題でもあるので、その調整も解る範囲で書いてみました。
市販の車用のものは、充電電圧を検知してオンオフするようになっているのはなかなか考えてあります。
なんとか自動ONOFFを簡単につけられないか考えていたのですが、なかなか思いつきませんでした。しかし、思いつけば簡単な話しでイグニッションのオンが12Vを通電するスイッチなのでこれを使えば追加部品なしで実現できます。
もうひとつは555電源にトランジスタスイッチをかませてツェナー電圧でコントロールするもので部品が数点増えますが、電圧検知で自動オンオフできます。
発振周波数の変更
パルス幅
タイマーの発振周波数(時間あたりのパルス回数)とデューティーですが、重要なのはR2で決まるパルス幅T2でこれがパルスの強度を決めます。役割としてはFETをONしてコンデンサーを220uHコイルを通してショート、コイルに電流を流しコアに磁束をつくり遮断(FET OFF)するまでのタイミングです。
これはタイマーの信号幅で、パルサー出力のパルス幅ではありません。パルサーが出力するパルスは数V−40V数A〜100Aの数MHzのスパイクパルスです。電圧や電流は放出されるエネルギーと負荷により変化します。

T2を長くしていくとFETオフの瞬間までにコイルに蓄えられるエネルギー、つまり発生するパルス電圧はコアが磁気飽和するまで上昇します。飽和すると急に電流が流れやすくなります。
逆にコアが小さくて電流の流せないコイルやインダクタンス値の小さなコイルだとT2を短くする調整が必要になります。作動電流を計って50mAより大幅に大きい場合は磁気飽和を疑ってください。
確かにパルス電圧が高いほうがパルスは強力なのですが、パルスの最初の立ちあがり部分のみがサルフェーションの除去に有効で、後からバッテリーに加わる電流は正常な部分の電極で充電として消費されてしまうのであまり意味がないという話しもあります。またそれがパルスの立ちあがりに関係する配線とコイルの直流抵抗、ダイオードのリカバリー速度に注意する理由です。小さいパルスで気長にやるほうが、バッテリーの寿命にはいいという話しもあります。
コイルに蓄えられるエネルギーは電圧、電流と時間で求められ
dI=VxdT/L
W=1/2xLxI^2
となります。
最初の回路の定数だと、電圧12V、インダクタンス220uH、35uS、から
I=12*35/220=1.9A
W=0.5*220*1.9^2=0.397mJ
大きなコアのコイルで飽和磁束に達する電流に余裕があるなら、適当な値を選べますがそれなりにコンデンサーの容量を大きくする必要があります。またパルスあまり大きくすると、発生するパルスでFETが壊れないような考慮も必要になると思います。
計算でコイルに適したT2値を求められますが、組み立て後は部品の発熱をチェックしましょう。
パルス周波数、(パルスの間隔)
気になるパルス周波数ですが、アメリカのサイトでは最初のころは1000-2000Hzが望ましという話しで、日本のパテントは2000-12000Hzがいいとなっていて、かなりの開きがありました。どちらが正解でしょうか。重なる2000Hzですかね。笑
最初はパルス周波数については、パルスとパルスの間にいろいろな理由(どんな理由だ?)でバッテリーを休ませることが必要でその限界が2000Hz、実験的にそうなるのだが、なぜかははっきりしないとの発言が1つだけあったのですが、その後はアメリカでも1000−5000Hz、直流抵抗が小さい大型強力なコイルを使いできるだけ強力なパルスを発生させるという流れになっているようです。そのためコンデンサーの容量を1000uF−6400uFまで上げています。
たしかに1000uHコイルの直流抵抗で時定数を計算すると100uFは最初の小さめのコイルで50mA程度ながしている場合ならなんとかOKという程度です。
コンデンサーはチャージの時定数以外にも、定格リップル電流が問題になります。
コンデンサー容量の選び方
パルサーの作動電流はコンデンサーC4からコイルに流れこむリップル電流ですから、電解コンデンサーの定格リップル電流をそれより余裕をみて設定する必要があります。目安としてニチコンSRGシリーズ(小型標準品85゜C 120Hz)で下記のようになります。周波数補正係数が100−1000uFで1kHz x1.3、10kHz x1.4、 2200uF以上で 1kHz x1.05、10kHz x1.08となっています。定格一杯まで使うと手で触れられないぐらい熱くなりますから、この半分ぐらいまででしょうか。電流を流すことによる抵抗分の発熱が制限なので、触れてみて熱くならなければ問題なしです。
| 16V | 25V | 35V | 50V | |
| 100uF | 172mA | 172mA | 220mA | 240mA |
| 220uF | 290 | 335 | 335 | 415 |
| 330uF | 355 | 380 | 475 | 525 |
| 470uF | 410 | 525 | 585 | 745 |
| 1000uF | 715 | 830 | 1010 | 1160 |
| 2200uF | 1160 | 1360 | 1560 | |
| 3300uF | 1460 | 1720 | ||
| 4700uF | 1770 | 2070 |
実際にエネルギーを高めるには周波数を上げるか、T2の幅を広げて一発のパルスを大きくすればいいのですが、それが可能な飽和磁束密度の高い、大きなコアのコイルが必要です。パーツのスペックに余裕があり強力路線を目指すなら、1000uHのコイルに電流を流せるものを選ぶのとコンデンサー容量を増やす必要もあります。
日本で市販のパルサーは5000Hz、アメリカ製のソーラー補充電のものだとかなり低い周波数と報告あるのですが、ソーラーパネルの大きさからして夜はパルス停止かもしれないですね。パルス電圧もクーパーさんのと比べるとかなり小さいという報告があります。車用なので加減しているのでしょうか。
最初の回路図の555タイマーのCR値から555の出力信号を計算すると下の表のようになります。
| R1 | R2 | C | T1 | T2 | 周波数 | 消費電流 |
| 470k | 22k | 0.0022 | 0.75ms | 0.034ms | 1273Hz | 50mA |
実測とよく合ってますが、T2少なめですね。大容量のバッテリーならもう少し増やしてもいいかもしれないですが、消費電流が大きくなります。バイクの7AHだしこのままでいいか。
R1を小さくするとパルスの間隔、T1が小さくなります。
| R1 | R2 | C | T1 | T2 | 周波数 | 消費電流 |
| 470k | 22k | 0.0022 | 0.75ms | 0.034ms | 1273Hz | 50mA |
| 300k | 0.49 | 0.034 | 1900 | |||
| 200k | 0.338 | 0.034 | 2680 | たぶん100mA | ||
| 100k | 0.186 | 0.034 | 4545 | |||
| 50k | 0.11 | 0.034 | 6963 | たぶん250mAぐらいか? |
1サイクルの時間が小さくなり周波数(パルス回数)が増えるのに比例して消費電流も増えるはずです。
逆に容量の小さなバイクバッテリーなどで、周波数を少なくしたい場合、コンデンサー10倍、抵抗1/10から始めR1を増やせば下記のようになります。
| R1 | R2 | C | T1 | T2 | 周波数 | 消費電流 |
| 470k | 22k | 0.0022 | 0.75ms | 0.034ms | 1273Hz | 50mA |
| 47k | 2.2k | 0.022 | 0.75 | 0.034 | 1273 | 同上 |
| 100k | 0.338 | 0.034 | 627 | |||
| 200k | 3.08 | 0.034 | 320 | |||
| 500k | 7.66 | 0.034 | 130 | 5mA+555消費ぐらいか? | ||
| 1M | 15.3 | 0.034 | 65 |
車などで常時パルスをかけるなら、バッテリー容量を考えて適当な周波数にすればいいかと思います。バイクバッテリーだと私の使用頻度ではCMOSの555使って100Hzぐらいなら、なんとか常時かけられると思うのですが、週1度必ず乗るかどうかは疑問です。長いと1月乗らないこともありますね。50mA流れる場合20時間で1AH消費しますから、5mAでも8日で1AH消費です。サルフェーションよけにわずかにパルスかけ続けるとしても、車なら問題ないがバイクだと太陽電池でも欲しいところです。
パルサーは、周波数少なくしても常時かけていたほうがいいのか、週1回月1回でも運転時に強いのかければいいのか、ふだんはなにもしないでダメになったら車から下ろして回復すればいいのか、最近出てきただけに、何もかも手探りなのが困りものです。
いろいろな使い方
基本的な使い方
バッテリーを下ろして充電器と併用
単にパルスをかけて、電圧が落ちてきたら充電を繰りかえすだけの基本的な使い方です。
充電器をつけたままにするなら、充電器の電線をフェライトコアに数回巻いておくか、コンピューターの電源につけるような二つ割りのフェライトコアを嵌めておくほうがいいでしょう。
定電圧電源などと併用して13.2Vなら密閉型バッテリーにも使えるので、バッテリーのフロート充電での保存などもこれでいいと思います。
UPS(無停電電源装置)のバッテリーなどはフロート充電になっているので、バッテリーと装置の間にノイズフィルターを入れて、バッテリーに並列に取り付けでしょうか。
24Vバッテリー用に変更

変更点はコイルにかかる電圧が2倍になったので、R2を少なくしてT2を短くした。
555の最大定格が15Vなので3端子レギュレーターをマイナス側に入れて24V→15Vにドロップした。(FETのオン電圧が低いものなら−9Vにして12Vバッテリーでもそのまま使えます) あとは、FETの耐圧を100V、C4の耐圧を35V、LEDの保護抵抗を2k。
車バイクなどに実装
簡単な改造で運転する時だけオン
PチャンネルFETだと、+アースですからパルサー回路のマイナス側R3のところで555の電源をオンオフしてやると、発振が止まり消費電流もなくなります。
普通の車やバイクはマイナスアースですから、Nチャンネルパルサーを使うとイグニッション連動でオンオフが可能となります。同じくR3で切り離し555側をイグニッションにつなげます。
Nチャンネルを使った回路の例

ほとんど部品点数は変わらず、FETがNチャンネルになったのと、ダイオードが一本555に追加され回路的には555のデューティーが逆になってます。そのためR1とR2の抵抗値が逆です。555のこの使い方がよく解らないのですが、555の時定数の計算が普通の使い方と違うようで、抵抗の付けはずしで周波数と電流を測定し定数決めました。
イグニッションスイッチから12V引いてくるなら、下記のような回路も可能と思います。

イグニッションがオンになると、バッテリーからイグニッションスイッチ経由でRaがショートされるわけですから、
| Ra | Rb | R2 | C | T1 | T2 | 周波数 | 消費電流 | |
| on | 10k | 1k | 0.05 | 0.38ms | 0.035ms | 2400Hz | 100mA | |
| off | 1M | 10k | 35.0 | 0.035 | 28 |
つまり運転中と停止中でパルス周波数が変わることになります。
エンジンかけているときは大量のパルスをかけてサルフェーション回復、エンジン切ったら少量のパルスでサルフェーション防止、、、となってくれたらウレシイ。笑
最初にも書きましたが、これはまだ作ってません。3月中には作ってバイクに装備したいと思っています。たぶんON時の周波数を倍の2400Hzにした下のほうになると思いますが、試作して消費電流を計ってから決めたいと思います。
装備して運用してから、また報告します。
2ヶ月ほど運用した報告です。
消費電流5mA程度でも数週間のらないと、バッテリーかなり上がり気味です。もとから上がり気味だったのに無理だった。笑
肝心のサルフェーションの予防ができてるかどうかは何ともいえず不明です。
問題はもう少し高頻度で乗る人でないとバッテリーが上がりそうになることです。太陽電池か何かで補助充電しないとわたしの使用頻度では無理みたいなので、はずしてしまいました。車でダッシュボードにおくような小型の太陽電池だとちょうどいいかもしれないですね。
結局、あまり乗らない小バッテリーのバイクでの運用では、普段はなにもしないか走行時オンで使いシーズンオフの冬にでもまとめてパルスで掃除するぐらいでしょうか。
下の自動オンオフに移行です。
電圧検知で自動オンオフ
イグニッションから電線引かなくてもいいのは楽です。

330Ωの抵抗の替わりにトランジスタのスイッチをいれて、ツェナーで電圧を検知してオンオフするだけの簡単なものです。検知電圧はツェナー電圧とトランジスタのB−E電圧0.6Vの合計13Vになります。市販のツェナーだと12.4−12.9とばらついていますから13.0−13.5Vでオンオフになります。部品が1つ増えるが、E−B間に抵抗いれて、ツェナー電圧12.9−13.4のものを使うほうがいいかもしれないです。

N−FETでの自動オンオフはプラス側で切りますが、同じことです。
トランジスタをもうひとつ増やすと、もっとスパッとオンオフできますが、上記の回路だと13.0Vから13.1VぐらいでC1のチャージとともにゆっくり555の電圧があがり、またパルスが発生するたびにC4のリップル電圧の変動の影響も受けるような動作になりますが、実用上は問題ないと思います。
むしろ走行時のバッテリー端子電圧はアイドリング時やランプ投入時などに下がりますから、なるべく長くパルスをかけているためにもツェナーを選別してオンオフ電圧を12.9−13.1Vぐらいにしたいところです。
もう少しよい方法は、基準電圧でヒステリシスをもたせたコンパレーターを作動させ、トランジスタをオンオフですが、この辺は各自工夫してください。
酷いサルフェーションからのバッテリー回復など
今のパルサーはバッテリーにつなげば即作動で便利ですが、どうも少しづつ容量が減りそのたびに補充電するのがめんどうです。
それならばパルサーの電源をバッテリーから取らないで、最初から別電源にすればいいわけです。たかだか50mAや100mAなら電話などの小さなACアダプターでも十分な電流です。
しかし、いろいろ問題もあります。
別電源によるパルス充電

回路的には単に1000uHのコイルを無くし、完全に別電源にしただけです。このコイルはせっかく作ったパルスがコンデンサーに戻って吸収されないように入っていただけなので切り離せば不用です。この場合、パルス充電になります。
こう見ると、なんのことはない教科書どおりのコイルに電流ながして遮断、自己インダクタンスで高圧発生させる回路です。12Vの安いACアダプターだと物によっては18Vぐらいまでいきそうですからツェナーあったほうがいいかもしれないです。この辺は330Ωの抵抗でも調整できますし、3端子レギュレーターを替わりにいれてもいいです。これは使う電源に合わせればいいでしょう。いいのは電源電圧が適当に選べることですね。←これは間違いでした。電源電圧よりバッテリー電圧が低いと、バッテリーに直流が流れ込んでしまいますね。バッテリー電圧より電源電圧が低いことが必要です。
注意として、バッテリーに接続してから電源いれないと、パルス端子にさわると感電します。パルス一発のエネルギーは12Vで作動して50usならこれと同じぐらい、コイル通電時間によりせいぜい4倍ぐらいのようですが、連続してますから危険かも。
バッテリーに接続してないと、電圧が上がりすぎて60V耐圧のFETが一瞬で壊れるのではないか? 同様の回路のリレーコイルを素子でオフした時のサージ電圧は150Vぐらいまで平気で上がります。まだ試してないですが破壊試験はしたくないです。50Vぐらいのバリスタか、ツェナーでも出力にいれておいたほうがいいかな。
バッテリーから電源をとるパルサーはこの点よくできてます。バッテリーに着けるまでパルスの発生がないし、発生した時はバッテリーで吸収され端子に触れても問題ない、というのはみごとな安全手順です。
密閉型のバッテリーの場合別の注意が必要です。
バッテリー端子電圧が低くてもパルスで流れ込む電流が大きいと電解ガスが発生するそうです。バッテリー端子電圧13.6Vでパルサーに13.3V0.5A流していたら泡がでてきたという報告があります。
この使い方は開放型のバッテリーなら過充電の電流が水の電気分解に使われるだけですが、密閉型では電圧を監視していないと危険です。
バッテリーへのトリクル充電と併用
充電器と併用してパルスをかける場合も、単にバッテリーにパルサーと充電器を並列につなぐと、パルスが充電器にまわりこみ充電器を接続するだけでパルス電圧が下がります。
満充電付近でのトリクル充電ならパルスの周り込みを防ぐため1000uHの後ろから充電したほうがパルスの逃げがありません。これは掲示板でチバさんの発言があるまで気がつきませんでした。掲示板つくって正解。^ ^
こちらも、バッテリーに接続してから電源いれないとまずいのは上のと同じですね。

一番簡単には、単にケースにジャックをつけて9V1AぐらいのACアダプターつけてみることでしょうか。9Vのトランス式アダプターは無負荷で13Vぐらいまでいきますから、レギュレーターもなにもなしでトリクル充電なら12.6Vぐらいで適当にコントロールされるのではと思います。そういえば秋月に10Vなんて半端なアダプターもあったような。こんな感じで使いやすそうです。
小型の密閉兼用充電器として使う
外部電源に余裕をもたせゲタをはかせた3端子レギュレーターでも基盤に組み込んでおくなら、小電流で充電できるぐらいにしておくと便利でしょう。普通バッテリーのフロート充電では13.2Vぐらいにしておくそうです。可変3端子の317のスペックシートに出力に低抵抗を入れた簡単なバッテリー充電用の使い方があります。この場合は回路図の1Ωの電流制限抵抗はいらないです。
電流制限抵抗は放電したバッテリーや補充電が必要なバッテリーには3−10Aの電流が流れますから、このようなバッテリーに電源電流容量や1000uHコイルの定格をこえた電流が流れないようするためのものです。パルスをかけているあいだにゆっくり充電できれば十分なので図の位置か電源の入り口に1Ω2W程度をつけておけばいいと思います。