作り方
回路的にはそれほど難しくありませんし、コイルにもよりますが電子部品を全部集めても1−2000円でしょう。
オリジナルのクーパーさんの回路そのままの基本回路の解説です。
変更としては、1000uHの位置、FETのGとSを500Kほどの抵抗を接続、です。配線間違いや555が発振していない時にFETが0Nになりコイルを焼くのを防ぎます。
部品の定数は緑で囲ってあるものはそのぐらいの値で適当でOKですが、ピンクで囲ってあるものはエネルギーをためるコイルのスペック(インダクタンスやコアの飽和磁束までの電流)により違うので、写真程度のコイルのサイズやスペック(ほぼ220uH、 0.162Ω、2.02Aぐらい)に合わせた値です。コイルにあわせた定数の計算などは「パルサーの改造」ページをごらんください。
この定数でコイルに小さめのインダクタンス値のものを使うとコイルに流れ込む電流が増加しパルスが強くなります。しかしコアサイズが小さいと飽和しますので注意が必要です。インダクタンスが大きめだと電流が少なくなりますから心配ないですがパルスが弱くなります。
コイルそのものの大きさ(コアサイズ)が小さい場合、インダクタンス値が同じでも電流が流せない(飽和してしまう)ので調整しないと使えませんし正常に動いても効かないのではと思います。最低でも写真程度2A以上です。コアにエネルギーが貯まるのでコアサイズは重要です。

上記回路図の太線の部分は、バッテリー端子まで、太い線材、最短距離、で大電流回路のつもりで実装配線してください。パルスですが瞬間的に数十Aの電流が流れます。実際に回路を組んでパルサーからバッテリまで細い線で長めにして繋げると、バッテリー端子のパルス電圧が半分ほどに下がっていました。もっとも、基板上では太い配線を心がけてもせいぜい1割程度パルス電圧が上る程度の違いのようです。
パルサーとバッテリーを繋ぐ電線の影響は大きく、基板上でピーク26Vぐらいでているのに、バッテリー端子では19Vほどになったりします。
P型のパワーMOSFETは、オリジナルの回路で使われているのがインターナショナル・レクチファイアー社のIRF9Z34で、SD耐圧-60V、ID-18A、オン抵抗0.14Ωのものです。SD耐圧60V以上でON抵抗の少ないものなら何でもOKですし、最近の駆動電圧が小さいものなら6Vバッテリーにも使えそうです。図の定数だと正常に動けば2Aしか流れません。コイルを大きくして強力型にすれば4A以上流すことになりますが、パルスを発生した後のFETの耐圧が心配です。とはいってもバッテリーにつなげた状態で基板上でも30V超えるのはたいへんだったりします。
整流ダイオードは、オリジナルのものはファースト・リカバリーの耐圧100V3A以上が指定されていました。最初に作ったものではショットキーを使い逆耐圧60Vで問題なかったので回路図は60Vになっています。この回路では逆電圧はFETオンの時に電源電圧がかかるだけのはずなので24Vバッテリーで使うことを考えても3−40Vあればいいような気がします。耐圧よりサージ電流に強いことが重要だと思います。この定数ではぜんぜん問題ないですが、少し強力にするとだいぶ熱くなります。
リカバリータイムですが発生するパルスの周波数は数MHzですから、普通の少し早いだけの高速ダイオードのリカバリータイム200ns程度では足りないと考えられます。5MHzで1サイクル200nsですし、その半波長のパルスの立ちあがりを通す必要があるわけです。
もっとも一般用整流ダイオードを使ってもパルス電圧は出るので使えるのではとも考えています。エネルギーの逃げ場がないので、多少時間が遅れるだけでエネルギーが放出されるということでしょうか? この辺はまだ疑問のままです。
コイルですが、エネルギーを貯める220uHは下の写真程度の大きさでぎりぎり有効なパルスが出る程度のようです。コアの大きさが貯められるエネルギー量となりますし、コイルの線径が太いもののほうがDC抵抗が少ないです。フェライトコアのものが指定されていますが鉄粉のものでもOKです。オーディオ用のコイル(1000μH=1mH 220μH=0.22mH)や、インバーター電源に使われるようなコイルなら何でもいいでしょう。巻き線が太く直流抵抗が少ないものがいいそうです。ノイズフィルターのローパスチョークは0Kですが、コモンモードフィルターなどに使われる透磁率の高いコアのインダクタンスは大きいのにコイルの巻き数の少ないものは電流を流すとすぐ飽和してしまい使えません。
このコイルは整流ダイオードと共に重要な部品でDC抵抗がパルスの強度や立ちあがりに関係すると強調されています。大電流を流せるトロイダル型の8Aのものを試してみましたが、インダクタンスの違いもありこの定数のままでだいぶパルス電圧が上昇しました。
1000μHのほうはゆっくりコンデンサーをチャージ(4-50mA程度)すればいいので定格電流の少ないものでもOKです(信号用のマイクロチョークだと直流抵抗が大きすぎて無理)。この定数は少し疑問で、もっと少ないインダクタンス値でも十分のようですが、オリジナルの回路を尊重して、ここではこの定数のままとしておきます。
220uH 0.162Ω 2.02A
DN4516-ND
1000uH 2.30Ω 0.39A DN7437-ND
上記はこの程度のものということで初期に指定された製品コイルの型番です。私が自作した写真のものは測定値で直流抵抗0.2Ωと1Ωでした。最低でも、この程度は必要です。
100uFのコンデンサーは1000uFほどに容量を増やしたり、並列に多数つけて放電しやすくしたり、電流の流れやすい高級コンデンサーを使ったりいろいろあるようです。確かに変化はあるのですが、この程度のコイルと周波数で使うなら実用上100uFで十分のようです。もっとも、コイルの電源として、リップル電流を流すわけですからコンデンサーは大きいほうが楽になります。
15Vツェナーは、完全にサルフェーションで閉塞したバッテリーだと、最初の充電時にバッテリ端子電圧が18V以上に上昇するときがあり、555タイマーの最大定格が15Vなので壊れてしまわないよう、電流を流し保護します。このツェナーは閉塞バッテリの最初のブレイク時しか出番がないようなので実際に作ったものには付けてないです。必要と思ったら付けるぐらいでいいと思います。
0.047uFのコンデンサーは無くても動きますが、FETのターンオフのスピードを改善するためのものでしょう。これもパルスの立ちあがりに関係します。この部分にトランジスタを入れてより早くFETのゲート容量を抜き高速でターンオフさせる回路もあります。
555タイマーが壊れたり、配線ミスでゲートに何も繋がっていないと、FETが静電気で常にONとなり、コイル二つがバッテリーに裸で繋がったのと同じになりコイルが焼けます。G−Sを高抵抗で接続して静電気を逃がすようにしておいたほうが無難です。また、FETが壊れていても同様です。MOSFETですので、不注意にゲートに触れて静電気がかかると簡単に壊れるので気をつけましょう。
回路動作の説明
555の方はこの定数で実測1200Hzほどで発振しデューティーほぼ5%です。つまり1サイクルの95%がオフで5%がオンになるわけです。555についてはこちらの解説が最高に素晴らしいので参照してください。
次ぎはパルスの発生ですが、パワーMOSFETは高性能の電子スイッチでゲートの電圧によりリレーのような作動でON−OFFをする素子と考えたらいいでしょう。
下図はP型FETの説明ですので、赤矢印は電流の方向とするとオカシクなるので実際に電子が流れる方向とでも考えてください。電流なら逆にするだけです。
バッテリに接続すると100μFのコンデンサーが1000μHのコイルを通ってチャージされます。

555は約1200Hzで方形波発振、デューティー5%で、MOSFETをONにします。

パワーFETのON抵抗はほとんど無視できるので、コンデンサーにたまった電荷がコイルとFETを通ってショートし、瞬間的に大電流が流れます。この時にコイルに磁束としてエネルギーを貯めるわけです。

次ぎの瞬間にFETはOFFとなりますが、コイルの性質として磁束として貯まったエネルギーを解放するため使い流れだした電流をそのまま流そうとします。すると行き場をうしなった電子は整流ダイオードを通り、バッテリーのマイナス端子に流れます。
普通に電流で考えるとダイオードには高圧のマイナス電圧が発生しバッテリーからパルス電流を吸い出すわけですね。ややっこしいです。

この写真が実際に最初に作ったものですが、FETが大き過ぎでユニバーサル基盤に別に穴あけしなければなりませんでした。電流値で75Aのスペックのものですが、ON抵抗も変わりませんし、この定数では正常に動いているならピークで2A程度しか流れないので、まったく無駄でした。笑
この下の30Aのものでも十分以上で、アメリカのサイトでもTO220パッケージのMOSFETを使ってます。
今はバッテリーへの配線や端子を太いものに変更してあります。この違いは大きいです。
少しでもパルス回路の抵抗を少なくしようと(単に面倒だった)ヒューズつけてなかったので、1度1000μHのコイル焼いてしまいました。555のoutで発振周波数を計る場合は+アースと考えて計ることが必要です。P−FETはGをアースに落とすとオンしてしまいます。
この回路の問題は、できあがっても動いてるか動いてないのかハッキリわからないことです。
クーパーさんが紹介していた作動確認方法は、
パルスがでていればコイルの種類によって、耳を近づけるとチーっと発信音が聞こえる。
AMラジオを近づけるとコイルがアンテナとなって雑音を放射しているので発振が判る。
電流計をつなぐと50mAほどパルサーに流れている。
簡単な回路なので最初に動いているのがわかれば後はインジケーター類は無くても気になりませんが、やはり最初の起動時にはパルスが出ているのが目に見えるかたちで判ったほうが安心のようです。
パルスを確認するにはオシロで直視するか、ピーク電圧を検知してコンパレーターでLED点灯しパイロットランプとするほかありません。これは下のパルス電圧測定回路を通して電圧を測るのと同じことです。
便宜的な方法ですが、FETのオンオフにより220uHコイルにバッテリー電圧がかかるのでそれにより間接的にパルスが作動しているか表示できます。回路としてはLEDをFETのオンオフのパルスで点灯するものでLEDをFETのDとコンデンサーマイナスに電流制限抵抗を直列にしていれます。「パルサーの改造」ページに取りつけた回路図があります。
N型のパワーFETを使う回路も幾つかアメリカのページに紹介されています。イギリスのトレバー・アンドリュースさんの回路は部品数もクーパーさんのと同じぐらいで作りやすそうですし、555が1000uHのコイルでパルス電圧から離されているのもいいです。トランスを巻かなければなりませんが同氏のブロッキングオシレーターの回路はパルスも強くできそうですし、試してみたいところです。テストでは同氏のパルス電圧測定回路をそのまま別基盤に組んで目安に使っています。
使い方はバッテリ端子に最短距離で接続するだけです。+−を間違えると一発で555が死にます。
バッテリーからパルサーにわずかに電流が流れコンデンサーにたまり、FETのオン・オフでコイルに高電圧を発生させそのパルスをバッテリーに戻すわけです。
最近の車だと電子機器やマイコンが使われていますから、このような雑音のかたまりを付けるのは問題多いという話しもあります。
リレーなどのコイルには逆起電力をショートするダイオードなど入れて雑音よけやスイッチング素子の保護をしていますね。このパルサーの場合はわざわざノイズを発生しているようなものです。車の最大のノイズは点火系なのでそれと比べてどうなのかよく判らない部分ですが、これは直接電源にパルスです。
車用の電子機器は電源からのノイズよけが厳重ですし、すでに車につけるパルサーも市販されています。やってることはまったく同じなので大丈夫とは思うのですが、このパルサーを車につけて電子機器が不調もしくは壊れても責任もてません。ご自分のリスクでお試しください。
(お決まりの文章で、すいません)
もっとも、このパルスは電線を1−2mも流れるとかなり減衰してしまいます。またこれを解決するにはバッテリーから車の電子機器への配線をフェライトコアに数回巻くか、コンピューター電源などに使われている二つ割りのフェライトをはめておけばいいという話しもあります。
基本的にバッテリーをはずして単独でパルスかけるのがパルス強度も強いし、気になる方にはお勧めかもしれません。
家庭用の充電器で補充電をしながらパルスをかける場合も充電器の電線の片側に同じようにフェライトコアを入れパルスの逃げを押さえたほうがいいでしょう。
シガーライターに刺して使えないかというアイデアもでると思いますしそのようなパルサーも市販されているようです。便利でいいのですが、バッテリーにパルスが到達するころには上記の理由でそうとう弱くなっているので勧められません。バッテリー端子に最短距離で接続する以外、意味がないと思います。どなたか試しにシガーライター接続で、バッテリ端子のパルス電圧の測定をしてご連絡いただけるとうれしいです。車もってないもんで (^ ^;;