ブロッキング発振ノート
パルサーもブロッキングオシレーターの回路のほうが簡単なのがいいのですが、仕組みがよくわからなかった。そこで、すこし勉強したものをノートがわりにまとめてみたページです。最近、流行っている1.5Vで白色LED点灯と同じ回路なので、そっちのほうで遊びながらやってます。
動作の解説
ブロッキングオシレーターはパルス発振回路で、555などできる前にコイルの性質を利用してタイミングパルスなどを発生させた回路です。コイル(インダクタ)の性質がよくわかるので、とても面白いです。

基本回路は上の回路図のようになるようですが、左は原理説明用でしょうか。トランスをコア飽和まで使うならいいが、途中で止めるにはベース側の巻数を加減しないとまずいような気がします。右はLED点灯でよくみる回路です。
トランスの作動は

上の図のAでスイッチが閉じると、L1に電流がながれ、L2に起電力が発生し電流が流れます。二次側の負荷R2は二次側から一次側への反映されることにより、一次側に影響します。二次側の負荷が増加(R2減少)すると、一次側の負荷も増大します。より多くの電流が流れるわけです。電源トランスなどで、二次側を1ヶ所ショートすると一次側のヒューズが飛びますね。
トランスで負荷が結合しているわけですから、合成した回路Bと考えられます。
これを直列RL回路といいます。
この回路Bのスイッチを入れた場合の動作を考えます。コイル両端の電圧と流れる電流を時間を横軸に示すと

コイルに電圧をかけても最初は電流が流れにくく抵抗のように電圧を生じます。電流は少しづつ増加、電圧はすこしづつ低下していくわけです。その変化は二次曲線となります。コンデンサーに抵抗を通して電圧をかけた場合とは電圧と電流が逆になったわけです。コンデンサーに電気をチャージするのと同じように、コイルも磁束として電気を貯えます。コンデンサーの時定数はCRですが、コイルだとL/Rとなります。その5倍の時間でフルチャージされるのも同じです。これはコイルのコアが飽和したのとは違います一定の電圧をかけて抵抗により制限される電流が最大まで増加し一定になったということです。解りにくい部分です。
実際の回路には抵抗ではなくトランジスタが入っています。しかも飽和していて電圧は一定で電流だけが増加していきます。L/RのRが小さく大きな時定数をもつのと同じです。コイルのほうは電流の増加が直線的ならば誘導される電圧も一定となります。
これでどうなるかというと、
回路Bのout電圧は、トランジスタがオンして電流の増加する割合が一定のあいだは変わらず一定の電圧をたもちます。コレクタ電流が決まった電流に達しそれ以上増加しなくなると電流の変化がないので誘導される電圧は0となります。

図1
そのためこのような、方形波信号が取り出せます。
電流が一定になるとコイルの電圧が0となるのは、電源フィルターにチョークを使ったとき、一定の電流をながしていれば電圧が出ないのと同じことです。しかしリップルが入ると電流の変化となり逆の電圧を発生し平滑します。
以上がコイルに直列に負荷(トランジスタ)が入った場合の動作の説明でした。
昇圧回路としての動作

ブロッキングオシレーターを使った昇圧回路でいちばん単純で部品点数の少ない例です。
流行りの1.5Vで白色LEDを点灯する回路です。トランジスタのコレクタ損失によりドライブできるLEDの数が決まりますが点灯するLEDはその範囲なら何本でもよく、とても便利です。
ページ最初の回路図の右側のものからコンデンサーをとっただけで、トランスは同じものです。このトランスは巻き線がタップでつながっていてタップから流れこむ電流の方向が逆ですから、一定方向に巻いたコイルの中点にタップを出したものと考えればいいわけです。実際にコイルの中点の絶縁を剥がしてタップをだすか、切って少しほどきリードとすれば作動しますが大きな電流が流れるのはコレクタ側のコイルだけですから線径を変えて二次側はごく細い線で十分です。
トランジスタは2SC1815だとコレクタ損失いっぱいまで使うことになりますから、心配な人は電流が流せるものに変えたほうがいいと思います。
2SC1815はコレクタ損失が400mWですから、電池電圧3Vで、作動電流100mA程度が目安でしょうか? 最大コレクタ電流が150mAとなっていますから低圧1.2Vで作動させてもやはり100mA少しほどの電流が目安ともいえます。(1.2Vに合わせて、3Vを加えると壊れます)
白色LEDの定格は20mA3.6Vほどですから、72mWです。3本で216mWから1.5V作動で150mA流して効率分ドライブ力が足りないというところです。低圧から3本フル点灯は無理で、こんなにぎりぎりで使うなら2SC2500でも使ったほうがかしこいですね。笑
試作したものは2SC1815で、LED3本、電源3V110mAほどです。損失を考えるとLEDは定格程度のドライブでしょうか。問題なく何日か連続点灯して動いています。これを1.2Vのニッケル水素で点灯すると明るさはへりますが電流は50mAぐらい、これでもそこそこ明るいです。
結局この辺は、電池の消耗と明るさの取引となるので、むやみに明るければいいとはいえないです。
2SC1815なら、1、2本、それより多い本数を点灯したいなら2SC2500で800mWから7−8本ぐらいというところでしょうか。コレクタ電流も2Aと低い電圧からの昇圧にも強いということになります。
動作の説明
最初にR1を通してベースに電流が流れ、トランジスタをオンにします。CE飽和電圧は2SC1815では0.1Vほどですが、コイルのリアクタンスで最初は電流がわずかしか流れません。
コイル両端の電圧は、電源電圧−CE飽和電圧となります。
時間とともにトランジスタのコレクタ電流が増加し、この時の電流の最大値はベース電流で決まるコレクタ電流です。
ベース側ですが、コレクタの電流の増加分、トランスのベース側の巻き線に起電力を生じ、トランスが同じ巻き数の中点タップとすると電源電圧が2倍になったのと同じになります。(巻き数が1:1だから、一次側に出る電圧と同じで電源電圧−CE飽和電圧ですね。起電力の方向は、、、ここの解説を見ながら悩んでください。笑)
その時にはベース電流も2倍となり、それにより決るコレクタ電流がコレクタが流す最大電流となります。
コイルに流れる電流は増加しこの電流に達すると、それ以上電流の増加はなくなります。
電流が増加しない、つまり一定となると、上の図1のように電圧0です。起電力も無しとなります。
起電力がないと、ベース側の電圧が半分に下がりベース電流も半分です。
同時にコレクタ電流も半分になります。
コイルの電流が減ったわけですから、こんどはベース側に逆の起電力が発生し、ベース電流が0となります。トランジスタは完全にオフ。
コイルは電流を流そうとしますがトランジスタがオフとなっているので流れません。
コレクタとコイルの接点の電圧が急上昇し、LEDの順方向電圧を超えるとLEDに流れこみます。
ベース側コイルでも急速に磁束が減少するのにともない、大きなマイナス起電力が発生しています。以上は電流が一定になった瞬間に起きる現象です。

この時に、遮断されたコレクタとコイルの接点に発生する電圧ですが、負荷により変わります。
この場合はLEDの順方向電圧ですから、その電圧まで上昇しあとはLEDに流れ込むだけです。コイルに貯まったエネルギーは一定ですから、LEDを直列して電圧が倍になれば電流は半分、電圧が半分なら電流は倍、ということです。(負荷が抵抗ならそうなるみたいですが、LEDの場合、さいげんもなく直列につなぐと功率が落ちるみたいです。スライドビューアーの照明を白色LEDに変更しようと、1.2Vを昇圧して白色LED6個を直列点灯した場合と3個づつ並列にした場合、3個づつのほうが明るく点灯してました。結構LEDの特性はそろっているようなので全部並列にした場合やコイルをオートトランスにした場合も、テストしたいと思っています)どちらがいいLED直列並列へ
さて、コイルが小さくてベース電流で決まるコレクタ電流が流れる前に、コアが飽和したらどうなるでしょうか?
結果は同じで、コア飽和→磁束の増加なし→ベース側コイル起電力なし→ベース電流減少の帰還→トランジスタ・オフ、となります。
上の回路で、効率に関係するのは、トランジスタのCE飽和電圧=小さいほどいい、ベース電流=少ないほどいい=増幅率が多いほどいい、コイルのDC抵抗=小さいほどいい、コアの磁気損失=少ないほどいい、ぐらいでしょうか? あと、電源側にコンデンサーいれておくというのがありました。電池の内部抵抗(これも損失)を低くしたのと同じなわけですね。コイルをチャージするときはそれほど問題ないのですが、昇圧パルスの出力の瞬間は時間が短いぶん、電圧や電流が大きいのでけっこう効きます。
ふつうはこの後ろに整流回路をつけてコンデンサーにため直流で点灯するようですが、LED点灯ならパルス駆動で十分だし、整流ダイオードの分だけでも効率は確実に上がるはずです。人間の目は点滅の周波数が大きければ、間欠的な点灯でも連続点灯と同じように感じる性質があるので点滅しても問題なしです。
ここの「§15.時間的弁別能−ちらつき刺激」を参照
さらに積極的に、一発のパルスを大きくするような駆動方法も考えられてます。
ここの「パルス発光」を参照
ちらつきの方はオンとオフの割合で暗くなるということですが、その分一発の発光を強くすれば目が感じる光量は同じですね。
パルス発光のほうはパルスでぎりぎりまでLEDをドライブするということです。
このパルスだと時間がみじかすぎて、うまくいくかどうかわかりませんし、ちらつきで述べられているように発光時間aと暗時間bの割合で発光量Lが同じでも暗くなる L x a/(a+b) ならオーバードライブしても同じことなのですが、どうなるか試してみたいところです。結局、消費ワット数以上は明るく感じないし、熱的にもパルスオーバードライブと直流点灯は同じ、という結論くさいのですが。
実作

極小!
部品はコイル、トランジスタ、抵抗の3点だけ、写真のフェライトビーズに0.4mm線と0.2mm線をそれぞれ10T巻きました。巻き数は4−5T以上あれば作動するようです。10Tで発振周波数は178kHzだったか187kHzだったかどちらかです。
巻き数が大きくなるとインダクタンスが上がりますから、電流の増加もゆっくりになり周波数が下がります。磁束が同じでも巻き数あたりの電流が下がるのでコレクタ電流に余裕がない場合はいいかも。発振周波数から言えますが、鉄紛コア(塗装してあるコア)では効率の落ちる使えない周波数です。
フェライトコアの入手に困るばあい、6ミリの鉄ナットをコアにしてもベース抵抗を小さくして電流を流せば何とか作動します。効率はかなり悪くなってると思います。30Tで50kHzでした。4mmナットもためしましたがそうとう電流を流さないと作動しません。ナットを使う場合は内側はストロー、外側はセロテープで絶縁してから、コイルを巻きましょう。あとは鉄ワッシャーをかさねての使用例などもあるようです。代用コアで作るとどうも発振の作動が不安定で、発振してないのでテスターで電流を計ると発振して発光などと、わけのわからない動きもありました。やはりフェライトがいいようです。フェライトビーズキット希望なんてメールがきたりして。笑
手巻きのこつとしては穴に電線が入らなくなったら、楊枝の先を押し込んで、内側のコイルを整形しながら銅線を通すと上のフェライトビーズでも8Tぐらいは楽にいけます。
わたしは単三2本のマグライト・モドキにいれましたが、マグライトで使うなり、部品が少なくて小さいのを利用して電球のベースに押し込むなり、お好きにどうぞ。これは4.5V以上ですが、上の部品を懐中電灯の電球ベースにいれると普通の1.5Vや3V懐中電灯用白色LED電球となり使いまわしができます。抵抗は1/6Wかチップのほうが小さいですね。元ネタはここで、下の方の電球のベースと部品の大きさの写真を見てください。このページではフェライトビーズには5T巻いて200kHzだそうです。
代用なら、写るんですフラッシュのフェライトコア・トランスとトランジスタがそのまま使えそうですが、試したところ暗かった。(巻き線3本でそのうち1本は300Vぐらいの高圧がでるので注意、タップが一部共用でわかりにくいので、なんなら全部ほどいて10Tぐらいに巻きなおして使うと問題ないです。トランジスタは2SC2500と同じぐらいです)抵抗も多数点灯ならそのまま使えそうだから、部品全部そろって、電池がおまけです。
蛇足ですが、ニッケル水素電池を使った場合の放電終止電圧を少し考えてみます。
ここで放電の時の注意点として、特に直列に使う場合、セルあたり0.9−1V程度で止めないと容量の少ない電池が過放電になるとの注意があります。つまり、2本使用で、片方がからっぽで、もう1つがまだ容量が残っていると、からの電池が逆充電されてしまうということでしょう。この辺は単に放電終止電圧1Vというのが一人歩きしてしまい、何でそうなのか説明しているところは少ないですね。
ここの3でニカドやニッケル水素の放電終止電圧について説明しています。
内容を紹介すると「普通、放電終止電圧は1セル当り1Vに設定してあるがこの電圧レベルを過ぎると急速にエネルギーが減少し電圧が下がる。さらに放電するとセル逆転によりバッテリーを痛める。大電流で深放電をする場合は注意が必要。バッテリーパックの各セルは完全に同じとすることは不可能なので、1V以上に深放電させると弱いセルがマイナス電圧化(転極)を起こす可能性がある。ニカドはある程度の転極に耐えるようになっているが、大電流が同時に流れると、これに影響されるセルは電気的にショートしてしまう」
同様の説明が、ここの13にもあります。
「バッテリーの中のセルはすべて同じではなく、中には弱いセルがある。つまり、バッテリーが放電するにつれ、弱いセルが活性物質を使いはたす。さらに放電が進むと空のセルに流れる電流は充電電流となる。違いは逆充電であるということ。陽極に還元がおき、そこにはニッケル水素が無いため、水を分解して水素を発生させる。セル内圧力が上昇し、ベントから噴きだす。セルは水を失いセルの寿命も短くなる。以下略」
国内にもすごいページがありました。ここでも終止電圧について解りやすい解説をされてます。ニッケル水素の説明は最高! メーカーもこのぐらいのことを書いて欲しいです。
そうすると、ニッケル水素などの二次電池をLED懐中電灯で使う場合は、一本使用か並列で電流を多めに取り点灯するほうがいいようです。これは単にメモリーよけに放電処理する場合も言えることです。昇圧回路で使用した場合の終止電圧は点けっぱなしで忘れた場合トランジスタのBE電圧の0.6Vになるが問題なしと思います。一本使用でも、3Vマグライトなら2本目の電池は、電池プラス側を絶縁したマイナスをバイパスするカバーでも作ってマグライトに入れておけば、電池切れ時の交換電池も内蔵するという、うれしい仕様となります。
ニッケル水素2本直列使用(効率はコイルDC抵抗やトランジスタCE飽和電圧に対する電源電圧の割合が関係するのでいい)もダイオード2本をベース側に順方向にいれると1.8Vを終止電圧にして残りの0.4Vでベース抵抗を決めればできそうですが、トランスの巻線比を変える必要があります。残念ながら、こんどはそれをアルカリ電池2本で使った場合などに適合しなくなりそうです。ニッケル水素専用というのも、懐中電灯としては、まぬけな仕様です。
さて最後にまた、ブロッキングに戻ります。

変わったのは、ベースとアースにコンデンサが入ったことです。
これでどうなるかというと、
トランジスタがターンオフしてコイルに逆方向の起電力が発生しますが、トランジスタのベース−エミッタはダイオードですから逆に電流は流れません。
しかしマイナス電圧の分、コンデンサーがマイナスチャージされます。
コレクタにつながるコイルにたまったエネルギーも放出を終わり、コイルの逆方向の起電力が無くなると、コンデンサーに電流が流れこみチャージされていきます。
R1を通ってコンデンサーにゆっくり電荷が貯まり、0.6V以上になるとベースに電流が流れ、次のサイクルが始まります。この時のタイミングはコンデンサと抵抗の時定数で決まります。
つまり、このコンデンサーによりパルスとパルスの間隔を調整できることになります。このコンデンサーが発振をブロックするので、ブロッキング発振とよぶらしい。
つづく、かな?